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学振DCでドイツに交換留学 #2【金策・手続き編】

はじめに

今回の記事では、学振特別研究員DCの身分で交換留学へ行くにあたって必要な手続きや経費の使い方などについてまとめる。節税の仕方や追加の助成金の申請方法などの金策についても紹介する。なお、すべて2024年現在での情報であることに留意されたい。

*前回の記事

mineta.hatenablog.com

*筆者の情報(より詳しくは前回の記事を参照)

社会学専攻

・DC2(2024-2025年度採用分)

渡航先:ドイツ

 

1 研究遂行経費の申請——税金対策!

「研究遂行経費」というのは、学振DCの研究奨励金20万円のうち3割を経費として使用することができる制度だ。この3割分が非課税になるので、学振のフォームで諸々の手続きをする際に忘れず申請しておこう。

詳しくは以下の記事を参照。

phd-kada.com

たまに「どうせ使いきれないから申請しなかった」という人がいるが、留学に行くなら渡航費をはじめ何かとお金がかかるし、仮に使いきれなかったとしても損になることはない。

年度末に経費使用の内訳を提出する必要があるのと、物品や航空券の領収書を保存しておく必要がある(直接それを大学会計や学振に見せるわけではなく、手元で保管しておくだけ)。

2 若手研究者海外挑戦プログラム——追加でお金がもらえるかも?

学振DCでは毎月20万円の自由に使えるお金と、1年あたり約80万円前後の研究費がもらえる。

これだけあればとりあえず経済的に困窮することなく留学生活を送れるはずだが、円安の昨今、渡航先の国によってはかならずしも余裕が持てるわけではない。現地でフィールドワークを行ったり、備品を購入したりする場合はなおさらだ。

しかし特別研究員は、基本的に他の奨学金を受け取ることができない決まりがある。追加で何らかのお金が欲しければ、学振と重複受給可能な助成金を申請する必要がある。

そこで申請を検討してほしいのが、日本学術振興会の「若手研究者海外挑戦プログラム」である。(*ちなみにこれとは別で「トビタテ!」も重複受給可能なようだが、申請が非常に手間なのと採用率が相対的に低いので個人的にはあまりおすすめしない。)

ホームページの記載によると、本プログラムの趣旨は以下のようなものだ。

博士後期課程の学生等が海外という新たな環境へ挑戦し、3か月~1年海外の研究者と共同して研究に従事できるよう、100~140万円(派遣国により異なる)の滞在費等を支給し、将来国際的な活躍が期待できる豊かな経験を持ち合わせた優秀な博士後期課程学生等の育成に寄与するプログラムです。

要するに、留学したい博士課程後期課程を経済的に支援してくれる。

ただし、既に学部時代や修士課程時代に長期の留学経験がある人は申請できない点に注意を。要項に申請資格として、「本プログラムの採用開始までに、連続して3か月以上、研究のために海外に滞在した経験がない者。」とある。

これが通ると往復の航空賃金+滞在費(100-140万円)を支給してくれるとのことなので、DCの科研費も合わせれば一切自腹を切ることなく留学生活を送れるだろう。

本プログラムの申請書は、DCの申請書の1枚目と2枚目だけを切り取ったようなフォーマットで、ある程度DCと互換性がある。ただし、渡航の必要性や意義、研究との関連性をしっかり書けないといけないので、丸々同じものを出してもダメだろう。また、DCと違ってかならずしも自身のディシプリンに関連する審査員ばかりが読むわけではなさそうなので、それも注意点だ(「社会学関連」みたいな、自分の研究分野のカテゴリを入力するフォームがなかった気がする)。

加えて、本プログラムは海外の大学の研究者に受入れてもらうことが前提になっているので、申請に先立ってあらかじめ海外の研究者に受入許可を取っておく必要がある。申請の段階で正式な受け入れ許可証が必要なわけではなく、あらかじめメール等で許可を取っておいて、プログラムに採用されたら受入証明証を発行してもらう流れになる。

なお、筆者は本プログラムに応募したものの、残念ながら不採用(B)であった。DC2に通った際の申請書をベースに修正を加えたものを提出したが、ドイツに渡航する必要性と意義がうまく伝わらなかったようだ。

3 特別研究員奨励費(科研費)から日当・滞在費を支出

年間約80万円前後もらえる学振DCの研究費だが、これは物品の購入や航空賃の支払いだけでなく、留学中の日当ないし滞在費として割り当てることが可能だ。これは留学をはじめ在外研究を行うなら絶対にやっておいた方がよい。

具体的な手続きは大学の総務の科研費担当の方に早めに相談しよう。

私の所属大学では、渡航期間中に日当・滞在費として支出する研究費の上限額や渡航経路などを担当者に提出すればOKだった。

私は残っている研究費を満額、留学中の日当・滞在費に当てた。一日あたりいくら日当を出せるかは大学内の規定に従うようだ。

これをしておくと、日当という形で研究費を受け取ることができる=お金を自由に使えるのですごくありがたい。

4 学振に海外渡航届を提出

渡航の1か月前までに、学振マイページから海外渡航の申請を行う。

5 住民票を抜く——税金・保険料の節約に!

盲点になりやすいのが、渡航期間中の国民健康保険料や年金だ。

周知のとおり、学振の収入があると独立生計になり、国民健康保険に加入したり住民税を支払ったりする必要が生じる。

しかし、渡航期間が長期の場合、海外転出届を市役所に出して住民票を抜いておくと、その期間中の保険料や年金、住民税は払わなくてよくなる。

渡航の2週間前~に市役所へ行き、手続きを済ませておこう。

6 在外選挙人名簿の登録——渡航先から投票ができる!

上記5と同じタイミングで済ませておきたいのが、在外選挙人名簿の登録だ。

これを行うことで海外の滞在先でも投票を行うことができる。在留届に登録した海外の住所宛に在外選挙人証が届くようだ。

転居届を出す際に、窓口の方に「在外選挙人名簿の登録をしたいのですが・・・」と尋ねれば、必要な手続きについて教えてもらえる。筆者が手続きを行ったときは自分から言わないと案内がなかった。

市役所の選挙管理委員会の部署へ行き、必要書類を記入する。

このとき、本籍地の情報を記入する欄があり困ったので、あらかじめ住民票などで確認しておくことをおすすめする。あるいは、運転免許証の読み取りができるスマホアプリをダウンロードすれば、免許証から本籍地を確認することも可能だ。

 

まとめ

学振DC×留学の情報はあまりインターネット上に落ちておらず、学内の先輩後輩間で密かに共有されていることが多い。

本稿に挙げた以外にも必要な手続きはたくさんあるはずなので、学振や教務からのメール、特別研究員の手引きなどをよく読んで動いてほしい。

以上。